公開講演会「ムーラン?ルージュ新宿座が生んだもの~舞台娯楽が結ぶ日本?台湾文化~」
INFORMATION
ムーラン?ルージュ新宿座は1931年~51年、現新宿三丁目にあった劇場兼劇団で、製作スタッフと演者を有し、365日無休で軽演劇やレビュー、コントを上演した。新宿界隈の学生?知識層に愛され、また、多くの俳優、作家を輩出し、その後の日本の演劇?映画?放送界に大きな影響を残した。
『ムーラン?ルージュ新宿座軽演劇の昭和小史』(森話社、2011年)の著者中野正昭氏(淑徳大学教授)にムーラン?ルージュ新宿座のご紹介を頂き、石婉舜氏にムーラン?ルージュ新宿座の文芸部に在籍した林摶秋の、台湾に戻ってからの演劇、映画作品に窺えるムーラン?ルージュ新宿座の経験などについてお話し頂く。
従来の近代日本演劇史では、大衆性のより高い芸態については、観客動員数が多いにもかかわらず比較的軽視されてきたが、1980年代後半以降、グローバル化の影響による娯楽市場の変容を背景に、こうした芸態の研究?再評価が行われている。新たな研究成果に基づくムーラン?ルージュ新宿座の紹介及び日本と台湾の大衆文化の繋がりは、本学の学生?教員だけでなく、一般参加者の関心にも応え得るだろう。
当講演会は、異文化コミュニケーション学部?研究科連続講演会『言語と社会や文化を<つなぐ>:世界と切り結ぶ異文化コミュニケーション』の一環として開催します。
講師
台湾?国立清華大学台湾文学研究所副教授、2024年度本学招聘研究員
石 婉舜(シィ?ワンシュン) 氏
台湾?国立台北芸術大学で戯劇学(演劇学)の博士号を取得。現在台湾?国立清華大学台湾文学研究所(研究所=大学院)副教授。日本統治時代の台湾娯楽市場研究を牽引する研究者のひとりで、当時の台湾で上演されていた日本、台湾の芸態(映画?演劇?布袋戯—指遣い人形劇など)及び劇場(成果の1つに「台灣老戯園文史地圖」)等に関する研究業績は高い評価を受けている。主編を務めた『林摶秋全集』(全12巻—映画?演劇脚本、書簡等の復刻、書林出版有限公司、23年12月刊行)は、忘れられた存在であった林摶秋(脚本家。演出家、映画監督。日本のムーラン?ルージュ新宿座文芸部に在籍し、映画製作も経験、後に台湾の大衆的な映画?演劇に大きな足跡を残した)の再発見とその仕事の再評価を促し、台湾現代演劇?映画研究の深化と発展に大きな貢献を果たすものとして高く評価されている。
「台灣老戯園文史地圖」はこちら
淑徳大学人文学部表現学科教授
中野 正昭(なかの まさあき) 氏
博士(文学)。専門は日本近現代演劇?演劇世相史?大衆文化論。著書(単著)に『ムーラン?ルージュ新宿座』(森話社、2011年)、『ローシー?オペラと浅草オペラ大正期翻訳オペラの興行?上演?演劇性』(森話社、2022年。令和4年度(第73回)芸術選奨文部科学大臣賞(評論部門)2023年3月、第1回音楽本大賞個人賞、2023年5月)、編著に『ステージ?ショウの時代』(森話社 2015年11月)、『浅草オペラ舞台芸術と娯楽の近代』杉山千鶴、中野正昭編(森話社 2017年2月)など。石婉舜主編『林摶秋全集』日本語編者も務めた。
通訳者
本学兼任講師、アジア地域研究所特任研究員、早稲田大学演劇博物館招聘研究員
鈴木 直子(すずき なおこ) 氏
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得退学。修士(文学)。専門は中国近現代演劇、現代文学。主な業績に「『堕落』した女性の居場所はどこにあるのか——曹禺と田漢の劇作から——」(『お茶の水女子大学中国文学会報』第40号、お茶の水女子大学中国文学会、2021年4月)などがある。
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