公開セミナー「台湾現代演劇の起源—歴史とその特性」
INFORMATION
台湾における日本統治時代の文化研究は、1980年代から加速したと言える。現在、台湾新文化運動記念館の展示では、日本の新演劇の先陣を切った一人である川上音二郎の台湾公演を台湾の現代演劇の起点に置いているが、実際は台湾で起きていた様々な動きが綯い交ぜになった先に誕生、形成されたもので、そのため発展過程では多様な様相を示し、現在に繋がっている。近代化の下、日本の娯楽市場が西洋化を目指し、一様化していくのに比し、多様性を維持してきた台湾の娯楽市場における現代演劇の歴史とその特徴を、石婉舜氏にお話し頂く。
現代演劇は変容する時代?社会を反映しやすく、また、興行財として消耗される無形文化でもある。1895年から半世紀間、日本統治時代を経た台湾の現代演劇及び娯楽市場の様相は、同じ東アジアの日本、中国のみならず、欧米の状況とも繋がるものであり、本学の学生?教員だけでなく、一般参加者の関心にも応えるものだと考える。
当講演会は、異文化コミュニケーション学部?研究科連続講演会『言語と社会や文化を<つなぐ>:世界と切り結ぶ異文化コミュニケーション』の一環として開催します。
講師
台湾?国立清華大学台湾文学研究所副教授、2024年度本学招聘研究員
石 婉舜(シィ?ワンシュン) 氏
台湾?国立台北芸術大学で戯劇学(演劇学)の博士号を取得。現在台湾?国立清華大学台湾文学研究所(研究所=大学院)副教授。日本統治時代の台湾娯楽市場研究を牽引する研究者のひとりで、当時の台湾で上演されていた日本、台湾の芸態(映画?演劇?布袋戯—指遣い人形劇など)及び劇場(成果の1つに「台灣老戯園文史地圖」)等に関する研究業績は高い評価を受けている。主編を務めた『林摶秋全集』(全12巻—映画?演劇脚本、書簡等、書林出版有限公司、23年12月刊行)は、忘れられた存在であった林摶秋(脚本家。演出家、映画監督。日本のムーラン?ルージュ新宿座文芸部に在籍し、映画製作も経験、後に台湾の大衆的な映画?演劇に大きな足跡を残した)の再発見とその仕事の再評価を促し、台湾現代演劇?映画研究の深化と発展に大きな貢献を果たすものとして高く評価されている。
「台灣老戯園文史地圖」はこちら
通訳者
本学兼任講師、アジア地域研究所特任研究員、早稲田大学演劇博物館招聘研究員
鈴木 直子(すずき なおこ) 氏
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得退学。修士(文学)。専門は中国近現代演劇、現代文学。主な業績に「「堕落」した女性の居場所はどこにあるのか——曹禺と田漢の劇作から——」(『お茶の水女子大学中国文学会報』第40号、お茶の水女子大学中国文学会、2021年4月)などがある。
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- 参加費 無料